Crystaline [クリスタライン]

スチームパンクファッションを普段着にしているWebデザイナー、Crystalineの日記。スチームパンクな自作アクセサリーやファッションについて発信しています。作り方やスチームパンクについての基礎知識も。

片手杖歩行者からのお願い

折りたたみT字杖先日の東北太平洋地震からずっと、渋谷の交通が麻痺しているようです。11日当日のお話なのですが、TwitterでTLの片隅に「片手杖歩行者が冷遇されている」とのつぶやきを見つけました。
渋谷駅の混雑時に優先席を譲ってもらえなかったこと、車いすの方優先なのはまだしも、すし詰めの状態の車内に押し込まれたこと、渋谷駅でエスカレータを使うにもエレベータを使うにも遠回りに歩かなければならず、歩行量が増えてしまうこと、が書かれていました。
相互Followしていないので、お名前も発言も晒すわけにはいかないのですが、確かに常日頃から片手杖歩行者はあまり大切に扱われていないような印象を受けています。片手杖歩行者の現状を知っていただきたく、このエントリを書きます。

何故片手杖(T字杖/松葉杖/4点支持杖)を持っているのか

先のTwitterで見かけた方は、半身麻痺を患われているようで、歩きにくさは私の比ではないと思いますが、片手杖歩行者が何故、片手杖を持っているのか。それは歩けないもしくは歩きにくい、倒れる恐れがあるからです。
平常時ですとエレベータでは荷物を持った旅行者に使用され、車いすの方から「お前足あるんだろ?立てるなら歩けよ」とご尤もな意見をいただいたくこともあります。家人と外出する際は肩を貸してもらいますが、一人の場合エレベータやエスカレータまでの道のりが遠く、ふらふらしながら階段を下りることもしばしば。
また今は通勤に電車を使用していないので、大丈夫ですが通勤ラッシュともなるとただでさえ、足に踏ん張りが効かないのに、足が宙づりになる状態で詰め込まれ、私の場合若者の部類に入りますので、勿論優先席など空けてもらえるはずがありません。愛知県在住の頃は名古屋へ通勤するのにラッシュでちょうど宙づりになり、ばったりと人の中に倒れ起き上がれず「足が悪いんです!助けてください!」と叫ばざるを得ない状況もありました。

杖を持っていない歩行困難者もいる、ということ

私の場合、杖が邪魔になることもあるので歩いては休んで、という風に杖を持たないで外出することもあります。そういう時もやはり優先席に着席していると、妙な顔をされ、時には顔をのぞきこまれる事もしばしば。
義足の方にも言えますが、最近は女性の場合肌色のシリコンシート等で隠し、オシャレを楽しみたいという願いからミュールやパンプスを履いていて、健常者と全く見た目の区別がつかない足をしていらっしゃる方も多いのです。
私の場合は切断後接合なので、足は自分の足ですが神経が一部通っていないため肌色のゴム長を履いて、足首を四六時中誰かに掴まれているような痛みがあります。見た目も悪く、常に濃い色のストッキング等で怪我の部分を隠しています。全ての腱も一度切断していますので、走れば一見して足が悪い事が分かるかもしれませんが、歩いていると健康そのものに見えます。
「こんなに足悪いんだから、お前らどけよ!」なんて一部の方がおっしゃっている場面にも遭遇しますが、そういう事は私は絶対にしたくありません。恥ずかしいです。
しかし先述したように、非常時・混雑時にこそ片手杖歩行者の方に注意を向けていただきたいと思っています。
うっかりだとは分かっているのですが、街中を歩いていますと、杖を蹴り飛ばす方もごく稀にいらっしゃいます。片手杖をお持ちの方は是非、杖紐をしっかりと結えてください。
杖が無ければ私たちはどうなってしまうのか、災害時にはビル等の建物から一人で脱出することも困難だろうと思います。両親からも口酸っぱく言われている事ですが、これだけは一人ではどうにもなりません。

「片手杖+若者=偏見」という構図

「片手杖=高齢者の持ち物」というイメージが定着してしまっていることも若者の片手杖歩行者が冷遇される一因にあると思います。「なんで初対面の人に会う時だけ杖持ってるんだよw」と知人に茶化されたこともありますが、別に自慢でも何でもなく、ただ足の調子が一定しないだけです。
先のエントリにも述べましたが、医者に歩けないと言われた足で歩いている私が悪いんです。
変なファッションをしているという理由、若者だという理由から助けを求めても得られる事が少ない私ですが、きっと同じような思いをされている片手杖歩行者の方も多いと思います。
これは両親にも言ったことですが、足が悪いとファッションを楽しんではいけないのでしょうか?目立たない格好をしていなければ助けてはもらえないのでしょうか?

最後に

もちろん助けを必要としているのは、片手杖歩行者だけではありません。目に見えない障害を負っていらっしゃる方、病気の方、通勤・通学中に顔色の優れない方を見かけた際、階段をふらつきながら下りている方を見かけた際、是非手を差し伸べてください。足が悪くなかった時分にも、何度か貧血や体調不良で助けていただいたことがあります。
片手杖は細く、背が低いため見えづらいかもしれません。人ごみの中で片手杖を見かけた場合、ほんの少し注意を払って蹴らないようにしてください。電車の中で杖を持った方を見かけたら、優先席を譲ってあげてください。エスカレータでは背中を押さないように気を付けてください。
また渋谷駅・新宿駅には歩行困難者のために、更にエスカレータやエレベータの位置、導線の確保を検討してほしいと願っています。片手杖歩行者からのお願いです。