Crystaline [クリスタライン]

スチームパンクファッションを普段着にしているWebデザイナー、Crystalineの日記。スチームパンクな自作アクセサリーやファッションについて発信しています。作り方やスチームパンクについての基礎知識も。

シンプルな革のICカード用パスケース

シンプルな革のICカード用パスケース
先日、主人のへだちくん(id:hedachi)がめでたく誕生日を迎えたので、遅ればせながら誕生日プレゼントに拙作のシンプルな革製のパスケースをプレゼントしました。
私と違って普段ヨーロピアンカジュアルで、秋冬にはジャケットも着るようなファッションなので、オフィスカジュアルにも合いそうなものを目指しました。革ですが久しぶりにスチームパンク工作以外のものに使った気がします。

全体はこんな感じ


パスケースの表と裏
焦げ茶色の薄めの革3枚からなっています。さすがに3枚だと分厚くなってしまうかと心配しましたが、逆に重ねることで強度が出て、中に芯材などを入れる必要がありませんでした。
ふちから5mm幅に等間隔に千枚通しで穴を開け、赤みがかった茶色の手縫い糸で縫っています。麻糸でないのは、単に好みで。もし切れるようなことがあれば、都度補修しようかなと。

機能と構造


表にはファスナー付きの小物入れ、裏にはICカード入れ
本人たっての依頼でICカードが残高不足だったり、お財布を忘れた時のためにちょっとした小銭などが入れられるよう、表にはファスナー付きの小物入れをつけました。
裏のICカード入れはそのままでスッポ抜けてしまわないように、ハトメで留めた穴にワイヤーや紐などを付ければ落下防止になるような位置にしました。

苦労した点、工夫した点

デザインはだいぶ前から決まっていたものの、設計ミスや裁縫が苦手だということもあり、制作に9時間ほどかかってしまったのですが、一番苦労した点はファスナーの部分かもしれません。また同じような物を作る機会があるかもしれませんし、他にも似たようなことで苦労されている方もいらっしゃるかもしれませんので、以下メモ代わりに自分が苦労した点といくつかの解決策を残しておきます。

ファスナーの長さ調整

はじめに、ファスナーは当然ですがここまで短い長さのものは売っていないので、事前に長さを調整する必要がありました。
そのため、ワイヤーカッターやプライヤー(ペンチ)で布にカシメてある務歯(ムシ)を一つ一つ取り外し、端に留めてある上留(うわどめ)も同じように一度外して留め直しています。
務歯(ムシ)を外すのには特に難なく、むしろ楽しくちぎってポイ、ちぎってポイと作業できました。
じゃあ、どこが難しかったかというと、上留(うわどめ)。これが見た目よりかなり難敵でした。
まず外れない。スライダー(持ち手)が抜けないようにするために存在しているだけあって、かなり硬い素材でできています。務歯(ムシ)のようにプライヤーで開いて外すつもりでしたが、硬すぎて金具表面を傷つけるぐらいしかできませんでした…。
結局噛んでいる部分のすき間にワイヤーカッターを食い込ませて外す、という方法で少し歪みは出ましたが外すことに成功。1つ歪みすぎて再度カシメることができなくなってしまったので、別に分解していた不要なファスナーから1つ拝借しました。
ファスナーの長さ調節については以下の記事に詳しく掲載されていて、大変参考になりました。
参考:金属ファスナー長さ調節の仕方 | いろはくろす

ファスナーの取り付け口

次にファスナーを付ける部分についてです。革にあらかじめファスナーを付ける部分に穴を開けておきました。
ところが、穴を開ける際に気がつけばよかったんですが、ファスナーの務歯(ムシ)の幅は5mmでもスライダーの幅は9mmあるんですよね…。
5mmで型紙を作っていて、すでに5mmの穴あけポンチで穴も開けて、直線部もつないでカットしてしまったところだったので、かなり悩みました。手持ちに最大8mmの穴あけポンチしかなかった、というのも困った点でした。
解決策として、結局8mmの穴あけポンチですでに穴が開いている部分の上から穴を開け直し、直線部も端1.5mmずつを慎重にカットしました。
縫い付ける際はファスナーのリボン部を事前に革に接着剤で貼り付けて乾かしてから、穴を開けると縫いやすいです◎

裁断時の革のゆがみ

構造の紹介で「3枚構成である」ということを書きました。革は弾力があって、織り目があってバイアスのかかる方向が見た目で分かる布とも違いバイアスがどの方向に入るのか(少なくとも素人の私には)分かりません。
そのため慎重に裁断しているつもりでも、3枚とも全て決まった位置に縫い穴を開けていても全部を縫い終わった後には多少の歪みが出てしまいました。
では、どうしたか。
縫い終わった後に約1mmほども飛び出ている部分はカットし、その他は紙やすりで削ってなるべく平らにしました。最初に粗めでヤスリがけをし、毛羽をハサミでカット。そしてそれより細かい目でヤスリがけをし、油性塗料で染色した後、トコノールを塗布して木で磨きました。
しかし更に問題が。
そうやって何度も木端を磨いていたため、表面と裏面の端にヨレが出てきてしまいました。見た目にも不格好なので、普段あまり使わないヘリ落としでヨレた部分を切り落としました。これで見た目が綺麗に整いました◎
※角の丸みは手作業で切ろうとすると均一にならず大変ですが、彫刻刀の「丸刀」を使うと簡単です。

完成品

シンプルな革のICカード用パスケース
意外と綺麗に出来上がった気がします
へだちくんがキーホルダーがあまり好きではないのか、ステンレスのダブルリングをキーホルダー代わりに、今まで使用していたパスケースに取り付けていたので、私の使っていないインダストリアルモチーフの真鍮製キーホルダーを取り付けました。
パスケース自体はシンプルなんですが、キーホルダーを付けると格好よさがアップ(?)へだちくんは普段金古美のものは身につけないので、完全に私の趣味全開の仕上がりになってしまいましたね…。
ですが、本人もすごく喜んでくれているので、製作者冥利に尽きる、といった感じです◎
革のパスケース自体は買ってきてしまえば2〜3千円で手に入ってしまうこの頃ですが「ここにこれが付いていてほしい」だとか「このサイズのこの色が」というのは探すのにも結構苦労してしまうので、ほしい物が決まっている人には作ってあげるのが一番かも、と思いました。
大事に使ってもらえるといいなあ。これが壊れるまでには、もうちょっと裁縫が上手くなっているように精進します。
お誕生日おめでとうございました。