Crystaline [クリスタライン]

スチームパンクファッションを普段着にしているWebデザイナー、Crystalineの日記。スチームパンクな自作アクセサリーやファッションについて発信しています。作り方やスチームパンクについての基礎知識も。

防塵用に!廃材で作る実用的なスチームパンクゴーグルの作り方

普段はアクセサリー用のゴーグルチョーカーを着けていますが、そろそろ金属加工の時に使用する防塵ゴーグルも自分で作ってみようと思い、廃材と革で作ってみました。

廃材で作ったスチームパンクゴーグル

材料

★廃材

  • 枠になるような筒状のもの 2つ ※セリアのスパイスケースの蓋でも代用可
  • 真鍮製の蝶番 1つ

東急ハンズで手に入るもの

  • ボールチェーン用Vカップリング 1つ
  • M6 袋ナット 2つ (鉄製)
  • M6 六角ナット 2つ (鉄製)
  • M6 なべねじ 4つ (鉄製)

★100円均一で手に入るもの

  • サスペンダークリップ 2つ (15mm用)…セリアの帽子留めから
  • A4サイズの透明な下敷き…ダイソー
  • ベルト用金具 1つ (15mm用)…同上

★革屋さんなど手芸品店で購入可能なもの

  • 真鍮両面中カシメ (足6mm) 3つ
  • 厚さ約0.5mmほどの革のハギレ ※合皮でも可

まず最初の材料は…これ何でしょうね?Kennyさんからもらった何かのフタです。「ゴーグルつくるのにちょうど良さそうじゃない?」とのことでいただきました。素材が鉄なのか、自然と錆びているところもナイスです。

スチームパンクゴーグルの作り方 筒状の廃材
廃材なので同じものは手に入らないと思いますので、セリアなどに売っている以下の写真のようなスパイスケースの蓋などもゴーグルの素材として最適だと思います。
スチームパンクゴーグルの作り方 セリアのスパイスケースの蓋
真鍮製の蝶番は実家から持って帰ってきた廃材です。古い納屋の蝶番だとか。
ゴミとして譲り受けたものなので、品番などは不明ですがサイズ感はこのような感じです。
スチームパンクゴーグルの作り方 真鍮の蝶番
鼻当て部分に使うボールチェーン用Vカップリング。あまり馴染みのない金具ですよね。
これはお風呂の栓についているボールチェーンの根元などに使われているもの。東急ハンズに行くと金物コーナーのチェーン売り場付近に置かれていることが多いです。
大きさは写真を参考にしてください。
スチームパンクゴーグルの作り方 ボールチェーン用Vカップリング

レンズを入れる

筒状の廃材にレンズを入れます。ここでレンズに使うのはA4サイズのダイソーの下敷き。ダイソーで売られているプラスチック製のどの板よりも厚く、ある程度強度があります。
筒の内径を測り、それに合わせてサークルカッターで下敷きをカットします。
※セリアのスパイスケースの蓋を使用する場合はこの工程は不要です。

革で風防を作る

スチームパンクゴーグルの作り方 型紙作りスチームパンクゴーグルの作り方 型紙を展開したところ
筒に合わせて写真のような型紙を作ります。低い部分は筒の高さ+5mm、一番高い部分では筒の高さ+25mmになるようにします。
端はあとで5mm折り返して縫うため、上記の高さに縫い代を1cmプラスします。
型紙ができたら、革を裁断しトコ面(革の裏側)の毛羽を抑えるためにトコノールを満遍なく塗り、かまぼこ板のようなものやガラス板などで寝かせながら磨きましょう。
磨き終えたら、端から2mm幅で線を描き、線に沿ってひし目打ちなどで縫い穴を開けます。
縫い穴を開けたら手縫い針で縫っていきます。

蝶番を分解する

真鍮製の蝶番を分解します。蝶番は真ん中にある棒で2枚の板を合わせているため、間の棒を抜いて2枚の板にすることができます。

スチームパンクゴーグルの作り方 蝶番の棒を取り出すスチームパンクゴーグルの作り方 蝶番を分解
私の持っていた蝶番は棒の部分が半球状のもので留められていたので、リューターの超硬ビットで頭を飛ばし、ペンチで引き抜きました。
これで2枚の真鍮板と棒が手に入ります。棒は今回は使わないので、何かのためにとっておきましょう。

蝶番の板を曲げる

2枚の板に分解したのち、筒に沿うように曲げます。手で曲げるためには一度真鍮板を熱する必要があります。この工程を「金属を"なます"」と言います。
ラジオペンチなどで真鍮板をつかみ、ガスコンロなどで少し赤くなるまで熱したあと水に浸けて冷まします。

スチームパンクゴーグルの作り方 蝶番を曲げる
なましたあとは円柱状のものに沿わせるなどして手で曲げてください。なます前は手で曲げられなかったものが柔らかくなっていると思います。
※決して熱いままの状態で曲げようとしないでください!やけどします。
※火の取り扱いには十分気をつけてください。
※金古美の金具として安く出回っている亜鉛合金は、火にかけるとあっという間に溶けます。火にくべる前に素材を確かめましょう。

筒に穴を空ける

筒に真鍮板を当てがい、おおよその穴の位置を決めます。決めたら、蝶番の穴の位置に合うよう、筒に穴を空けます。
今回この廃材は鉄製で格子状だったため、棒を2本ずつペンチで切り離すことでネジの通る穴を確保できました。

筒の穴に合わせて風防に穴を空ける

スチームパンクゴーグルの作り方 風防に穴を空けるスチームパンクゴーグルの作り方 筒と合わせてみたところ
先ほど裁断して端を折り返し縫った風防を筒の中に入れ、筒の穴部分に合うように穴を開けます。マーカーなどで印をつけ、6mmの革ポンチなどで開けましょう。

組み立てる

スチームパンクゴーグルの作り方 穴の位置を確認する
真鍮板、筒、風防の穴がちゃんと重なるかどうか確認したら、M6のなべねじを裏から通します。
スチームパンクゴーグルの作り方 袋ナットを締めるスチームパンクゴーグルの作り方 六角ナットを締める
上部のネジが出ている部分には袋ナットを、下部のVカップリングを通す部分には六角ナットを締めます。
スチームパンクゴーグルの作り方 締めにくいときはペンチで
締めにくいときはラジオペンチなどで締めると締めやすいです。

ベルトを作る

スチームパンクゴーグルの作り方 ベルト部分
ベルトを作ります。私の場合、帽子に着けることを想定して15mm幅の長さ11cm(うち折り返し2.5cm含む)で裁断しました。
サスペンダークリップを通す側は端から1.5cmのところに3mmの革ポンチで中カシメを留めるための穴を空けます。2.5cm折り返して同様に穴を空けます。
サスペンダークリップを通し、中カシメをペンチなどで挟むか打ち台で打つなどして留めます。
※写真のようにお好みで歯車をカシメに通してもいいと思います。
スチームパンクゴーグルの作り方 サスペンダークリップ部分
最後に風防の一番高い部分にサスペンダークリップを挟みます。

完成

スチームパンクゴーグルの作り方 完成写真
中々手間がかかっていそうに思われるかもしれませんが、ここまでの流れは10時間ぐらい。はじめて作るもので試行錯誤しながらでも1日でできてしまいました。
スチームパンクゴーグルの作り方 裏部分
試しに防塵用に装着してみましたが、なんの問題もなく使えます。蝶番が鼻すじに当たるので、皮膚が切れてしまわないか心配される方もいらっしゃったのですが、元々製品用に角が丸く整えられているのと、棒が差し込まれていた部分が自然と鼻あてになって、痛くありませんでした。
スチームパンクゴーグルの作り方 帽子に装着
装飾用ではないのでかなり重く、この状態のハットを被っていると前にずり下がってくるのですが、雰囲気はよさそうです。

デザインフェスタVol.40に着けていきました

ちょうどデザインフェスタの前日から作りはじめたので、デザインフェスタVol.40に櫻田さんからいただいた革の鳥マスクと一緒に装着して歩いてみました。

スチームパンクゴーグルの作り方 コーディネート例

まとめ

廃材からつくるゴーグル、いかがでしたでしょうか?金属ゴミも色々あると組み合わせているうちに思わぬものが出来上がったりします。「中々金属は…」とおっしゃる方がたくさんいらっしゃいますが、たとえばこのゴーグルにも使用した蝶番なんかは、身近にある金物ですし、一度なました後であれば手でも曲げられます。

なにごとも第一歩目は難しくとも、歩き出してしまえば「なんてことなかったな」と思えるようになるものです。Crystalineは金属加工をはじめるスチームパンカーを応援しています。